東京都練馬区は区の施設内に、バイオ燃料を自家精製する機械を導入した。家庭から廃食用油を回収し、区が所有する清掃車の燃料として使用する。自治体が燃料を精製するのは珍しい。家庭で処理に困る場合が多い食用油を有効に活用することで、ごみの削減につなげる。
区民館など区内42カ所の施設で、各家庭がペットボトルなどにためた使用後の菜種油やごま油などを回収する。回収した油は区の資源循環センターに集め、新たに導入した精製機でバイオ燃料に変える。
精製機の導入費は約1800万円。125リットルの廃油から8時間で100リットルのバイオ燃料が精製可能で、この量で同区の清掃車が1週間走行できるという。
区は年間20トン程度の回収量を見込んでおり、うち約10トンを清掃車のためのバイオ燃料精製にあてる。残りは企業などに売却して区のリサイクル資金などとして役立てる方針だ。
区によると、清掃車をバイオ燃料で運行した場合、国の基準で二酸化炭素(CO2)排出量がゼロになるなど、環境負荷の大幅な軽減になる。区の清掃車24台のうち、バイオ燃料で走る清掃車は2台。故障などの課題を検証した上で、今後は台数を増やすことも検討する。